謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は、皆さま方にとってどのような1年でしたでしょうか?経済環境や市場の変化が激しい中で、企業経営における課題や不安も多かったことと思います。今年も引き続き、皆さまのビジネスをサポートさせていただけるよう、尽力してまいります。

さて、新年を迎えるこのタイミングで、貴社の経営方針や事業戦略について改めて考えてみませんか?
特に我々を含めた中小企業の経営者の方々にとって、次の一手をどのように選ぶかは言わずもがな非常に重要です。

本日はそのヒントとなるトピックとして、「不確実性の高い市場環境下での成長戦略」についてお話しします。

 

問題提起:経営の「次の一手」に迷う理由

多くの経営者が抱える共通の悩みとして、「市場環境が不安定で、次の戦略を決められない」という声をよく耳にします。急速な技術革新、顧客ニーズの変化、予測困難な外部環境。これらの要因が複雑に絡み合う中で、現状維持を選ぶことがリスク回避ではなく、逆に競争力を失う原因となることもあります。

では、どうすればこの不安定な環境下で、自信を持って意思決定を行えて、成長することができる企業になる(=成長する、と定義します)のでしょうか?

成功企業に見る3つの共通点

成功している企業は、以下の3つの要素を経営戦略に取り入れています。本来はこの3つに限りませんが、できるだけわかりやすく読みやすいように3つに絞って解説します。

市場データの活用

現状を正確に把握するため、データ分析を徹底しています。顧客動向、競合の動き、自社の業績を定量的に評価することで、リスクを可視化し、最適な戦略を選択しています。
このデータは内向きのデータ(社内データ)だけではなく、外向きのデータ(競合)の情報が入っている点に注目です。社内向けの会議で社内のデータばかりを論じていて、競合他社のデータに触れないことが多くあります。実はこれが低成長ないし、赤字体質の事業によく見られます。

つまり「わかりやすく」データを使用し、現実を正しく把握する。そしてそこから得られた情報を活用して、戦略を策定することが大切と言えます。

 

アジャイルな組織構造

アジャイル(agile)とは、機敏な、という意味の言葉です。機敏に組織を改編し、環境の変化に柔軟に対応できるよう、意思決定のスピードを上げています。
例えば、チーム単位で迅速に動ける組織構造を整備することで、実行と改善のサイクルを短縮しています。

もともとアジャイルとはソフトウェア開発で使われる言葉でした。アジャイル開発の主な特徴は、
1週間から4週間程度の短期間を一つのサイクルとして、計画、設計、実装、テストを繰り返すこと。大きなシステムを小さな機能単位に分割し、優先度の高いものから順に開発を進めること。開発途中での仕様変更や要件の変更に柔軟に対応すること。重要な機能から着手するため、早期のサービスインを可能にし、迅速にサービスをリリースすること。

これらはすべて組織競争力を引き上げることに繋がります。そして「シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。」と原則に書かれています。

組織改編は一大人事となったり、過去の異動歴がまことしやかに囁かれたりするような組織を目指すのではなく、必要なタイミングで必要にアジャイルな組織改編を行うということが大切です。

 

長期的な視野と短期的な施策の両立

短期的な目標(例:コスト削減)と長期的な視点(例:新規事業への投資)をバランスよく進めています。このバランス感覚が競争優位を生むカギです。

ただし、コスト削減は「聖域なき」コスト削減でなくてはならず、また新規事業投資は、当然撤退基準を定めます。会社の戦略に従わない全く方向性の違う新規事業は行わないことです。
よくあることとして、新規開発がお客様の方向を見ていない自社都合の開発になっていたり、赤字状態をずっと垂れ流したままの延命処置をしていたりする企業があります。現場の意見を吸い上げ、新規事業に結びつける、言葉では非常に簡単ですが、これが難しい。せっかくの技術力があっても、無駄が多かった結果、市場における競争力を喪失してしまうことがもったいないのです。

だからこそ、良い戦略を作り上げ、市場競争力を取り戻す。これらの要素を取り入れ、不確実性をチャンスに変えていきたいですね。

 

実践ステップ|最初にあなたは何をすべきか

それではこれら本日のポイントを踏まえ、今から紙とペンを用意してください。そしてこれらアクションプランをぜひ今から紙とペンを必ず使用し、考えてみましょう。
ただ読み進めるのでは、あなたの組織は変われません。面倒だと思うかもしれませんが、面倒なことはすべからく大切なことなのです。

現状を棚卸しする

自社の強みと弱みをリストアップし、外的環境との関連性を再確認してください。ただし、SWOT分析はあくまで現状を把握するだけです。強みと弱みは当然表裏一体の関係になるわけです。それだけでは全く意味はありません。(むしろSWOT分析という言葉は私にとって違和感があります)
すべては、外的環境を正確に把握することが大切なのです。そこに自社の目線が入ってはいけません。数字をこねくり回して都合よく形を変えてはいけません。

市場の声を集める

顧客やステークホルダー(利害関係者)の声を直接聞く場を設け、今後の方向性に役立つ意見を収集しましょう。
ただの訪問では意味がありません。生の、本当の声を聞き出さなければ自社の復活には繋がりません。
トップダウンで行うことです。末端に任せるのではなく、経営者が積極的に自分から行動することです。

専門家に相談する

必要に応じて、私たちのような専門家に相談してください。結果的に視野を広げ、新たなアイデアを得ることができます。外部の人間をうまく使ってください。全権委任し、社内のマイナスの声、社内政治を優先することなく、外部の人に意見を伝えさせてください。それが組織をより良く変える一つの方法に繋がるかもしれません。

 

まとめ

2025年が皆さまにとって実り多い1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。経営に関するお悩みやご相談がありましたら、いつでもご連絡ください。皆さまの成功を全力でサポートいたします。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。